DYNA2000

いわずと知れたDYNA2000です、トリプル、6発用に3000、レース用に4000

なんてーのも有るみたいです。

最初に出たのは1998年頃で、もうかなりの知名度なんで、どんな物なのかは詳しく紹介はしません。

点火の制御と、タコメーターの信号をある程度自由にいじれるリプレイスイグナイターです

火花も純正よりは強く、ノーマルコイル+イリジウムとの組合せで強すぎることも無く程良いです

点火時期の調整は、付属の金具だとアバウトなので、ダイヤルゲージと全周分度器で出してます。

   

因みにA/Fが決まるとキツネ色では無く白っぽくなります。

今、このイグナイターにちょっとした噂が出てたりします。

「DYNA2000は加熱してパンクする」と。

常識的な設置場所に付ければ実際にはそんなに加熱しません。

ショップでもはっきりしないトラブルが原因でDYNAから、ウオタニに変更するのが主流みたいです

これにはちゃんとした原因があります

知らない方が大半です。

私の手元に何故かダイナの本体が4つ予備で有ります

車体に付いてるの含めると5個です

経緯はどうあれ、結果から言いますと全部使えます。

しかし、失火する、パンクするジャンク品と診断された代物です

中には最新型のPCに接続してマップ書き込める物も有ります

当然二束三文で買いました。

本体の外側ケースが欲しくて買ったのですが結果的に全部本体モジュールは

異常なしで切開できませんでした。

  

実際に乗って、確認もしましたし、夏場の連続4時間の仮想運転試験でも失火はありませんでした。

じゃ何故そう診断されたのでしょうね?

このコネクターがひとつの原因です。

配線も誤配線して論外ですねこれは

ハーネスのキット付属の物ですが、これ3.5インチIDEのHDDと同じコネクタなんですね。

ペリフェラル4ピンコネクタというらしいです

これ、HDDのコネクタ同様、付け外し数回で金具の口がバカになってガバガバになり

結果接触不良起こします。

あと、防水でないので、水気でリークも起こします。

ココに通る線は、信号線なのでノイズや接触不良が出ると点火にまともに影響します

デイトナ等の高級防水コネクタで対策して解決です。

後、これは本体と切り離して考えてますが、コイルです。

点火系だけで4〜5A消費してます。

回転数にして5000回転です。

結構消費してます。

序にコイル単体もアッチッチです触った感じ70度以上あります

エンジン回ってないのに。

3Ωの純正コイルでもかなり加熱するのでダイナ付属の2.2Ωだとさらにです

コイルは消耗品です。

因みに、冷間と、温間で1.5Ωぐらい直流抵抗変動します。

診断時、温度は揃えて計測してください。

次に、ピックアップ自体の寿命。

これ、モーターで仮想運転してますが、いくつかのピックは死んでました

オシロに繋ぐと綺麗な波形が本来は出ます

ピックの赤線に12Vを送り黒が接地、マグネットが通ると青線に1.4番、白線に2番、3番の信号がでます

ダイナのピックアップ信号は5Vの短形波です。

逆をかえせばクランクトリガーに繋がる、コネクタの赤線に12Vが出てなければ本体の故障です。

滅多にありませんけどね。

死んでるのは出ませんし、本体のチェックランプが点灯しっぱなしになる物もありました。

当然生きてるピックに繋ぐと問題なく動作します。

ダイナのクランクトリガーはコイルではありません。

死んでるのを割って確認しましたが、磁気に反応する半導体で

半導体磁気抵抗素子みたいです。

当然熱にもそんなに強く無いので発熱原のエンジンに付いてるので寿命アリです。

それと、これが一番多そうな気がするなーと思ったのが

ピックアップローターのマグネットの芯と、クランクトリガーのセンサーの芯ずれ

簡単に言いますと、芯ずれおこしてるのが多いって事です

ピックアップローター、クランクトリガーが純正よりも小さい分、ストライクゾーンもずっと狭いです。

これ理想の状態です

ピックアップローターを横から見たと思って下さい。

青が、クランクトリガーが反応する範囲で、緑がピックアップローターの磁気が出てる範囲

黒い矢印がローターの移動(回転)方向

ストライクゾーンが綺麗に一致してます

これが実際に多い状態です。

クランクケースや取り付けカラーの個体差、トリガーベースの歪等色々な要因で

ストライクゾーンがずれます

ぎりぎり反応してるって感じです。

これにエンジンが温まりますと、熱膨張で更に軌跡がずれてきます

良い方向にずれれば問題ないのですが、悪い方向に大抵ずれて失火します

これが加熱すると失火すると理由です

1−4、2−3のトリガーが独立してるので同時に失火する事もめったに無く

大抵2気筒セットです。

ダイナはデジタルイグナイターなんで、信号のレベルが一定を下回るといきなり失火します

仮想運転で芯をずらして確認しましたが間違いないです。

その時、オシロの波形も短形波とは程遠い波形になってました。

ダイナのモジュールもそんな波形でもギリギリまで頑張ってました。

症状が思い当たる方、ダメだと思って捨てる前に、ローターもしくはクランクトリガーベースに

一枚ワッシャーかまして様子見てみてください。

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暫くしてから、余裕が有ったので芯出し実践してみましたのでもう少し書き足しときます。

少し脱線しますが、点火チューンは、DYNA以前にも色々やりました。

点火火花は強ければ強い程良いと、疑って無かった昔は

WAKOのマルチスパーク等にも視野を広げ、ノロジーのケーブル始め、

ウオタニはおろか、DYNA2000が無い頃でしたので

MSDのMC3デジタルや、純正イグナイターを改造し

イグナイターの出力トランジスターをダーリントン接続で定格の5倍の半導体にして

 

MSDのレース用の低インピーダンスのIGコイル(0.5Ω)

等で点火電圧を5万V超にしたり強化したりしましたが

 

トルクは劇的に上がりましたが結局純正+αに落ち着きました

点火を強くして行くとトルクが上がり加速力は上がった物の、ツーリング等の定速走行

パーシャルが非常に乗りずらくなってしまいました。

ハイカムにするとパーシャル時キャブレターからやたら吹き返すのもかなりのストレスでした

多分、発電と、点火での消費のバランスも当時は崩れてたと思います。

過ぎたるは猶及ばざるが如しの典型です。

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ちなみに今普及してるDI(ダイレクトイグニッション)は

点火が1番4番、2番3番のセットでなく1番2番3番4番の各圧縮上死点のみで

点火する仕様のために個々にコイルが独立しています。

ですので今までの大きなコイルだと邪魔なので色々工夫した結果です。

メリットは、排気上死点でも点火する同時点火より

消費電力が半分で済む事と、プラグの寿命が理論上倍になります

なので少々アクセスの悪い設計でも問題ない事になってます

同じ仕様にするには点火用ECUまるごと移植しないと意味が有りません。

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芯出しに戻ります

旋盤に治具を加えてエンジンの回転を再現してみます

クランクシャフトの代わりに旋盤の主軸を使うアイデアで再現します

 

旋盤のチャッキングにピックアップローターを取り付けます

刃物台のベットにクランクトリガーベースを取り付け回転中に平行移動

出来る様にしてみました。

DYNA2000、コイル電源を接続してエンジンが運転してる状態と

同じ状態を再現しました

旋盤のMAXの回転が3000rpmと低いですが回転は

今回関係なのでそのまま進めます。

付属のカラー等を付けた状態で、今まで使ってた状態です。

オシロスコープに繋いで波形を見ると波形が出ます

この状態から刃物台を平行移動して波形が消える所まで前後にオフセットして行きます

1mmチョイ移動した所で波形が消えました

当然、スパークも消え失火状態になりました。

反対側にも移動して見ましたが大体1〜2mm動かした所で波形細くなってやがてが消え

  

センサーが反応してる範囲が極狭い範囲なのが判りました

今度はパルスが一番強く(波形が長く)なる範囲を刃物台を移動して探してみました

 

最初のボルトオンの状態より1mmずれた所で波形がMAXになりました

やはり誤差の範囲ですが、芯ずれ起こしてました。

これを元に、芯ずれの分を差し引いたカラーを作成して

干渉が無いか仮組みしてみます

 

色々ギリギリ大丈夫みたいなのでこのまま取り付けします

これでセンサー、マグネット各々の芯が出てる事になります

 

元々問題が無かったので、変化無しですが、芯が出て確実に

信号を拾って、本当の故障以外で安心出来る仕様になったんじゃないかと思います

今回はパソコン接続のオシロスコープや旋盤で芯を探してみましたが

他にも簡単で良い方法は有ると思います、参考にしてみて下さい。

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